爆発性の試験

「爆発」現象は正しくは爆轟(Detonation)と爆燃(Deflagration)とに分けられます。爆轟は衝撃波を伴い音速以上で伝播し周囲の物体を破壊する威力を持ちます。爆燃は衝撃波を伴わず、反応速度は音速以下で周囲の物体を破壊するほどの威力はないですが、密閉容器を破裂させたり物を吹き飛ばしたりします。爆轟はいろいろな条件で伝わったり中断したりするので、条件によっては爆発する物質が全く爆轟しなかったり、逆に全く爆発しないと思われていたものが爆轟したりします。その中で重要な因子は、1.物質量、2.密閉度、3.試料の密度、4.起爆の強さ、です。

一部で爆発・分解が起こってもそれが穏やかなもので、かつ持続しなければ大きな災害にはならず、初期対応が可能です。また爆発・分解を起こしやすいか否かは取扱い時の注意に必要な情報です。

落つい感度試験

JIS K4810に規定される試験で、0.1mlの試料を鋼性の円筒コロに挟み、上から5kgの鉄槌を落下させて爆発するか否かを調べます。

評価
(JIS等級)
【1級】6分の1爆点が5cm未満
【2級】6分の1爆点が5cm以上10cm未満
【3級】6分の1爆点が10cm以上15cm未満
【4級】6分の1爆点が15cm以上20cm未満
【5級】6分の1爆点が20cm以上30cm未満
【6級】6分の1爆点が30cm以上40cm未満
【7級】6分の1爆点が40cm以上50cm未満
【8級】6分の1爆点が50cm以上

摩擦感度試験

JIS K4810に規定される試験で、0.01mlの試料を磁器製の板と棒の間に挟み、棒に荷重をかけた状態で板を1往復させて爆発するか否かを調べます。

評価
(JIS等級)
【1級】6分の1爆点が1kgf未満
【2級】6分の1爆点が1kgf以上2kgf未満
【3級】6分の1爆点が2kgf以上4kgf未満
【4級】6分の1爆点が4kgf以上8kgf未満
【5級】6分の1爆点が8kgf以上16kgf未満
【6級】6分の1爆点が16kgf以上36kgf未満
【7級】6分の1爆点が36kgf以上

弾動臼砲試験

英国HSEで開発された試験法で、臼砲と呼ばれる大砲の一部に試料をセットし、雷管で起爆したときの臼砲の振れ幅を標準物質と比較して爆発威力を算出します。爆発性の試験はBAM50/60鋼管試験が一番適していますが、1回の試験(1回の起爆)に約1,000mlと大量の試料が必要です。これに対して弾動臼砲試験は1回の試験(1回の起爆)に必要な試料量は5gと少量のため、大量の試料が準備できなくても少ない試料量で爆発性の有無を判断することができます。

評価 【爆発威力大】爆発威力がTNT比25%以上
【爆発威力中】爆発威力がTNT比10%以上25%未満
【爆発威力小】爆発威力がTNT比10%未満

可変起爆剤試験、可変試料量試験

爆発性物質は、与える衝撃の強さを小さくすると爆発しなくなります。弾動臼砲を用いた可変起爆剤試験は、起爆する薬量を変化させて爆発性物質の衝撃感度を評価します。一方可変試料量試験は、弾動臼砲を用いて試料量と振れ幅の関係を調べます。試料量の増加に伴って振れ幅も増加する場合、その物質は伝爆性有りと評価することができます。

BAM50/60鋼管試験

爆発性の試験としては最も標準的な試験で、試料を内径50mm、外径60mm、長さ500mmの鋼管に詰めた後、50gの高性能爆薬(伝爆薬)を起爆させて試料が爆発するか否かを調べます。装填された試料は直径50mmと大きく、鋼管を土に埋めて起爆させるため密閉度も十分あり、高性能爆薬で起爆するので起爆力も大きいです。爆発性評価の条件をほぼ完全に満たしており、この試験で爆発しない物質はまず爆発しないと考えて差し支えありません。

粉塵爆発試験(下限界濃度測定)

JIS Z8818に規定される試験で、試料をアクリル製の円筒容器に入れ、乾燥空気で円筒内に粉塵を発生させて高電圧の放電で着火します。粉塵爆発が起これば火炎が円筒内を伝播して、上部に取り付けられた破裂板を破裂させます。粉塵爆発は身近な物質でも起こり、例えば小麦粉、砂糖、コーンスターチのような食品でも粉塵爆発は起こるので注意が必要です。なお、試料は300μmの篩を通過することが条件です。

評価 【爆発性高】爆発下限界濃度が45g/m3以下
【爆発性中】爆発下限界濃度が45g/m3を超え100g/m3未満
【爆発性低】爆発下限界濃度が100g/m3以上

粉塵爆発試験(爆発圧力特性)

JIS Z8817に規定される試験で、粉塵爆発を起こした際の爆発圧力及び圧力上昇速度を測定します。最大圧力上昇速度から爆発指数(Kst)が計算されます。これらの値は粉体プロセスにおいて、爆発放散口を設計する際に必要となります。

評価 【St 0】爆発指数Kstが0
【St 1】爆発指数Kstが1以上200以下
【St 2】爆発指数Kstが200を超え300以下
【St 3】爆発指数Kstが300を超える

粉塵爆発試験(最小着火エネルギー測定)

粉塵爆発を起こす物質の場合、その最小着火エネルギーを知ることは安全対策上極めて重要です。数値が小さいほど着火し易く、静電気の発生によって粉塵爆発を起こす可能性があります。最小着火エネルギーの値によっては、そのエネルギーに匹敵する静電気の発生を抑制する対策が必要になります。

但し、最小着火エネルギーは試料の粒子径、粉塵濃度、水分量、酸素濃度、雰囲気温度によって影響を受けるので注意が必要です。

粉塵爆発試験(限界酸素濃度測定)

粉塵爆発は、下限界濃度以上の粉塵濃度、最小着火エネルギー以上の放電エネルギー、雰囲気中の酸素の存在によって引き起こされます。粉塵爆発を起こしやすい物質の場合、粉塵爆発を起こす限界酸素濃度を知ることにより、不活性ガスで置換する等の安全対策を考えることができます。

爆発限界測定

引火性の高い有機物を取り扱う場合、試料表面は気化した有機溶媒と空気との混合気が形成されます。空気との混合比が爆発範囲に入っている場合は、着火源により爆発を起こします。爆発する下限界濃度が低い物質や、爆発範囲が広い物質の場合は、取扱いに際して注意が必要と言えます。

爆発限界の値は使用する装置によって条件が違うので結果に影響が出る場合があります。弊社では北川式爆発限界測定装置を用いて測定を行い、爆発限界のほかに、限界酸素濃度を測定することも出来ます。

各試験の必要試料量はこちらをご確認ください。

ぺージTOP