スクリーニング試験

試験による評価を行う場合、いきなり多量の試料を取り扱う試験は危険です。最初は数mgないし数gの試料から始めて潜在的な危険性を評価します。このような試験を一般的にスクリーニング試験と呼び、危険性評価におけるスタート位置になります。

熱分析試験

1~2mgの物質を所定の容器(セル)に入れ、任意の昇温速度(通常は10℃/min)で加熱させて試料の熱的な挙動を見ます。方法は開放セルを使用する場合と密封セルを用いる場合がありますが、開放セルの場合は液体だと昇温中に揮発してしまうため、危険性評価では密封セルを用いるのが一般的です。この試験で得られる情報は、1.発熱開始温度、2.発熱量、3.発熱速度の3つであり、発熱開始温度からは熱安定性が、発熱量からは燃焼性・爆発性の可能性が、発熱速度から分解時の激しさが推測できます。わずか数mgの試料で試験ができることからスクリーニング試験として非常に有用な手段であり、実験室での少量合成段階から危険性を評価することができますが、潜在的な評価しかできません。あくまでスクリーニング試験として位置付け、実際の評価は後に述べる標準試験の結果から判断すべきです。

ARC試験

熱的安定性のデータ、例えばSADTを求めるには後述する蓄熱貯蔵試験を通常行いますが、蓄熱貯蔵試験は400mlという多量の試料を用いるため、分解があまりにも激しいと恒温槽が破壊されることがあります。ARC(Accelerating Rate Calorimeter)試験は、ある雰囲気温度において試料の発熱を検知すると、それに見合うだけ雰囲気温度も上昇させて断熱状態を作り出します。この時の測定結果から各種の計算をすることにより、多量の試料を用いなくてもSADTを推測することができます。なお、固体の場合は比熱データが必須となります。またインジェクション、スターラーのオプションが対応可能ですので、事前にご相談ください。

各試験の必要試料量はこちらをご確認ください。

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