消防法危険物確認試験

消防法危険物確認試験について

消防法における危険物の規制は、1988年5月の改正により、危険物か非危険物かの判定並びに指定数量の決定等すべてが試験によって判断されることになっています。危険物はその性状によって第1類から第6類に分類され、下表に示した危険物は当選のことながら、実際に確認試験を実施し、その結果により危険度をランク別に規制することになっています。実際に確認試験を行うためには、適切な試験機器と専門的知識・経験が必要です。

種別 性質 品名
第1類 酸化性固体
  • 塩素酸塩類
  • 過塩素酸塩類
  • 無機過酸化物
  • 亜塩素酸塩類
  • 臭素酸塩類
  • 硝酸塩類
  • よう素酸塩類
  • 過マンガン酸塩類
  • 重クロム酸塩類
  • 炭酸ナトリム過酸化水素付加物(過炭酸ナトリウム ※2012年7月1日から施工)
■その他のもので政令で定めるもの
  • 過よう素酸塩類
  • 過よう素酸
  • クロム、鉛またはよう素の酸化物
  • 亜硝酸塩類
  • 次亜塩素酸塩類
  • 塩素化イソシアヌル酸
  • ペルオキソニ硫酸塩
  • ペルオキソほう酸塩類
これらを含有するもの
第2類 可燃性固体
  • 硫化りん
  • 赤りん
  • 硫黄
  • 鉄粉
  • 金属粉
  • マグネシウム
■その他のもので政令で定めるもの、これらを含有するもの
  • 引火性固体
第3類 自然発火性物質
禁水性物質
  • カリウム
  • ナトリウム
  • アルキルアルミニウム
  • アルキルリチウム
  • 黄りん
  • アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く)及びアルカリ土類金属
  • 有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く)
  • 金属の水素化物
  • 金属のリン化物
  • カルシウム及びアルミニウムの炭化物
■その他のもので政令で定めるもの
  • 塩素化けい素化合物
これらを含有するもの
第4類 引火性液体
  • 特殊引火物
  • 第一石油類
  • アルコール類
  • 第二石油類
  • 第三石油類
  • 第四石油類
  • 動植物油類
第5類 自己反応性物質
  • 有機過酸化物
  • 硝酸エステル類
  • ニトロ化合物
  • ニトロソ化合物
  • アジ化合物
  • ジアゾ化合物
  • ヒドラジンの誘導体
  • ヒドロキシルアミン
  • ヒドロキシルアミン塩類
■その他のもので政令で定めるもの
  • 金属のアジ化物
  • 硝酸グアニジン
  • 1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパン(アリルクリシジルエーテル)
  • 4-メチレン-2,オキセタノン(ジケテン)
これらを含有するもの
第6類 酸化性液体
  • 過塩素酸
  • 過酸化水素
  • 硝酸
■その他のもので政令で定めるもの
  • ハロゲン間化合物
これらを含有するもの
指定可燃物 指定可燃物
  • 綿花類
  • 木毛及びかんなくず
  • ぼろ紙及び紙くず
  • 糸類
  • わら類
  • 再生資源燃料
  • 可燃性固体類
  • 石炭・木炭類
  • 可燃性液体類
  • 木材加工品及び木くず
  • 合成樹脂類(発砲させたもの、その他のもの)

2種類以上の危険物に該当する場合、優先度は下記となります。

  第1類 第2類 第3類 第4類 第5類
第1類   第2類     第5類
第2類 第2類   第3類    
第3類   第3類   第3類  
第4類     第3類   第5類
第5類 第5類     第5類  

第1類(酸化性固体)

酸化力の潜在的な危険性及び衝撃に対する感度を評価します。いずれの試験においても試験物品と還元剤との混合により危険性のランクを評価します。試験は、粉粒状の場合は試験Ⅰとし、その他の物品(成形品等:目開き2mmの篩(ふるい)を通過する量が10%未満の場合)は試験Ⅱで評価します。

試験Ⅰ(試験体:粉粒状)

燃焼試験(400g)

標準物質 臭素酸カリウム、過塩素酸カリウム
還元剤 木粉
評価 【ランク1】燃焼時間が臭素酸カリウム以下
【ランク2】燃焼時間が臭素酸カリウムより長く過塩素カリウム以下
【ランク3】燃焼時間が過塩素酸カリウムより長い

落球式打撃感度試験(3g)

標準物質 塩素酸カリウム、硝酸カリウム
還元剤 赤りん
評価 【ランク1】
塩素酸カリウムとの比較で半数以上爆発
【ランク2】
塩素酸カリウムとの比較で半数以上不爆、硝酸カリウムとの比較で半数以上爆発
【ランク3】
硝酸カリウムとの比較で半数以上不爆
総合評価
  落球試験
【ランク1】
落球試験
【ランク2】
落球試験
【ランク3】
燃焼試験
【ランク1】
燃焼試験
【ランク2】
燃焼試験
【ランク3】

Ⅰ:第1種酸化性固体(指定数量50kg)
Ⅱ:第2種酸化性固体(指定数量300kg)
Ⅲ:第3種酸化性固体(指定数量1,000kg)
Ⅳ:第1類の危険物には該当せず

試験Ⅱ(試験体:成形品等:目開き2mmの篩を通過する量が10%未満の場合)

大量燃焼試験(2,000g)

標準物質 過塩素酸カリウム
還元剤 木粉
評価 【危険性有】燃焼時間が過塩素酸カリウム以下
【危険性無】燃焼時間が過塩素酸カリウムより長い

鉄管試験(2,500ml)

還元剤 セルロース粉
評価 【危険性有】鉄管が完全に裂ける
【危険性無】鉄管が完全に裂けない
総合評価
  鉄管試験
【危険性有】
鉄管試験
【危険性無】
大量燃焼試験
【危険性有】
大量燃焼試験
【危険性無】

※:試験物品を粉砕して、試験Ⅰを実施し評価する
Ⅲ:第3種酸化性固体(指定数量1,000kg)
Ⅳ:第1類の危険物には該当せず

第2類(可燃性固体)

火炎による着火の危険性及び引火の危険性を評価します。

小ガス炎着火試験(40ml)

試験物品に液化石油ガスの火炎を接触させ、着火するまでの時間を測定する。

評価 【第1種可燃性固体(指定数量100kg)】3秒以内に着火
【第2種可燃性固体(指定数量500kg)】3秒を超えて10秒以内に着火
【第2種の危険物に該当せず】10秒以内では着火せず

セタ密閉式引火点試験(50g)

セタ密閉式引火点試験器を用いて引火点を測定する(引火性固体の場合)。

評価 【引火点40℃未満】引火性固体(指定数量1,000kg)
【引火点40℃以上】第2類の危険物には該当せず

第3類(自然発火性・禁水性物質)

空気中での発火の危険性及び水と接触して発火もしくは可燃性ガスを発生する危険性を評価します。いずれの試験においても少量試験から大量試験の手順で実施します。

自然発火性試験(100ml)

固体 試験方法 1.磁製カップ法
2.落下法
評価 【ランク1】「1.磁製カップ法」「2.落下法」で自然発火
【危険性無】「1.磁製カップ法」「2.落下法」で自然発火せず
液体 試験方法 1.磁性カップ法
2.濾紙法
評価 【ランク1】
「1.磁製カップ法」「2.濾紙法」で自然発火
【ランク2】
「2.濾紙法」で濾紙を焦がす
【危険性無】
「1.磁製カップ法」「2.濾紙法」では自然発火せず、「2.濾紙法」で濾紙を焦がさない

水との反応性試験(30g)

試験方法 1.微量ビーカー法
2.少量ビーカー法
3.発生ガス量測定
評価 【ランク1】
「1.微量ビーカー法」「2.少量ビーカー法」で自然発火
【ランク2】
「1.微量ビーカー法」「2.少量ビーカー法」で小炎による着火
【ランク3】
「3.発生ガス量測定」で可燃性ガスの発生量が200L/kg/hr以上
【危険性無】
「1.微量ビーカー法」「2.少量ビーカー法」で自然発火せず、小炎による着火せず、「3.発生ガス量測定」で可燃性ガスの発生量が200L/kg/hr以下
総合評価
  水との反応性試験
【ランク1】
水との反応性試験
【ランク2】
水との反応性試験
【ランク3】
水との反応性試験
【危険性無】
自然発火性試験
【ランク1】
自然発火性試験
【ランク2】
自然発火性試験
【危険性無】

Ⅰ:第1種自然発火性及び禁水性物質(指定数量10kg)
Ⅱ:第2種自然発火性及び禁水性物質(指定数量50kg)
Ⅲ:第3種自然発火性及び禁水性物質(指定数量300kg)
Ⅳ:第3類の危険物には該当せず

第4類(引火性液体)

引火の危険性を評価します。

  評価 指定数量
特殊引火物 引火点が-20℃以下で沸点40℃以下 50L
引火点が100℃未満で発火点が100℃以下 50L
第一石油類 引火点が21℃未満(非水溶性) 200L
引火点が21℃未満(水溶性) 400L
第二石油類 引火点が21℃以上70℃未満(非水溶性) 1,000L
引火点が21℃以上70℃未満(水溶性) 2,000L
第三石油類 引火点が70℃以上200℃未満(非水溶性) 2,000L
引火点が70℃以上200℃未満(水溶性) 4,000L
第四石油類 引火点が200℃以上250℃未満 6,000L
指定可燃物・可燃性液体類 引火点が250℃以上 -
アルコール類 炭素原子数が1~3までの飽和1価アルコール 400L
動植物油類 動物の脂肉等または植物の種子、もしくは果肉から抽出したもの 10,000L

第4類危険物の確認試験は結果によって、それぞれ行うべき試験が決まってきます。

純物質

混合物

アルコール類

第5類(自己反応性物質)

爆発の危険性及び加熱分解の激しさを評価します。

圧力容器試験(150g)

評価 【ランク1】
オリフィス径9mmの試験で破裂回数5/10以上
【ランク2】
オリフィス径9mmの試験で破裂回数4/10以下、オリフィス径1mmの試験で破裂回数5/10以上
【ランク3】
オリフィス径1mmの試験で破裂回数4/10以下

熱分析試験(3g)

標準物質 過酸化ベンゾイル(BPO)、2-4-ジニトロトルエン(DNT)
評価 【危険性有】BPO及びDNTより求めた判定線上またはこれより上
【危険性無】BPO及びDNTより求めた判定線より下
総合評価
  圧力容器試験
【ランク1】
圧力容器試験
【ランク2】
圧力容器試験
【ランク3】
熱分析試験
【危険性有】
熱分析試験
【危険性無】

Ⅰ:第1種自己反応性物質(指定数量10kg)
Ⅱ:第2種自己反応性物質(指定数量100kg)
Ⅲ:第5類の危険物には該当せず

第6類(酸化性液体)

酸化力の潜在的な危険性を評価します。

燃焼試験(300ml)

標準物質 90%硝酸水溶液
還元剤 木粉
評価 【酸化性液体(指定数量300kg)】燃焼時間が90%硝酸水溶液以下
【第6類の危険物には該当せず】燃焼時間が90%硝酸水溶液より長い

指定可燃物

第2類確認試験において引火点が40℃以上、第4類確認試験において引火点が250℃以上の場合または所定の条件を満たす場合は非危険物になりますが、指定可燃物としての適用を受ける場合があります。そのような物質の場合は以下の試験を行い評価します。

燃焼熱量測定(20g)、融点測定(3g)、酸素指数測定(100g)

可燃性固体類 固体で、次の「1」、「3」またはこれのいずれかに該当するもの
1気圧において温度20℃を超え40℃以下の間で液状となるもので、次の「2」「3」または「4」のいずれかに該当するもの
  1. 引火点40℃以上100℃未満
  2. 引火点が70℃以上100℃未満
  3. 引火点が100℃以上200℃未満で燃焼熱量が34kJ/g以上
  4. 引火点が200℃以上で燃焼熱量が34kJ/g以上で融点が100℃未満
    合成樹脂の場合、酸素指数が26未満
可燃性液体類
  1. 1気圧において引火点が40℃以上70℃未満の液体で、可燃性液体量が40%以下であって燃焼点60℃以上
  2. 1気圧において引火点が70℃以上250℃未満(温度20℃で液状に限る)で可燃性液体量が40%以下

第2類及び指定可燃物

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