クラス5 区分5.2(有機過酸化物)・クラス4 区分4.1(自己反応性物質)

自己反応性物質及び有機過酸化物の試験は下記のフローに従って各種試験が行われます。
自己反応性物質の対象となる物質は以下のような原子団を持つ(クラス1に関する原子団も含む)物質です。

  • 相互に反応するグループ
    アミノニトリル類、ハロアニリン類、酸化性の酸と有機物との塩
  • S=O
    ハロゲン化スルホニル類、シアン化スルホニル類、スルホニルヒドラジド類
  • P-O
    亜リン酸塩類
  • 歪みのある環
    エポキシド類、アジリジン類
  • 不飽和結合
    オレフィン類、シアン酸塩

但し、以下の条件の何れかに合致するものは自己反応性物質からは除外されます。

  1. 火薬類の判定基準により火薬類(クラス1)になるもの
  2. 酸化性物質(クラス5 区分5.1)になるもの
  3. 有機過酸化物(クラス5 区分5.2)になるもの
  4. SC-DSC等を用いて測定した発熱分解エネルギーが300J/g未満のもの
  5. 50kgの輸送物におけるSADTが75℃を超えるもの(蓄熱貯蔵試験による結果)

自己反応性物質判定フローチャート

テストシリーズ

テストシリーズA【 BOX1 】

爆轟を伝播するか:物質を鋼管に充填して高性能爆薬にて起爆

BAM50/60鋼管試験(3,600ml)

評価 【Yes】
鋼管が完全に裂ける
【Partial】
鋼管の破裂長さが不活性物質の1.5倍を超える
【No】
鋼管の破裂長さが不活性物質の1.5倍以下

テストシリーズC【 BOX3、4、5 】

爆燃を伝播するか:着火した際の激しさを評価

時間/圧力試験(50g)

評価 【Yes, rapidly】
690kPaから2,070kPaの圧力上昇時間が30ms未満
【Yes, slowly】
690kPaから2,070kPaの圧力上昇時間が30ms以上
【No】
最大圧力が2,070kPaに達しない

爆燃試験(1,500ml)

評価 【Yes, rapidly】伝播速度が5.0mm/sを超える
【Yes, slowly】伝播速度が5.0mm/s以下0.35mm/s以上
【No】伝播速度が0.35mm/s未満

テストシリーズE【 BOX7、8、9、13 】

密閉加熱の影響はどうか:物質を強制的に加熱して分解の激しさを評価

Koenen試験(400g)

評価 【Violent】
限界オリフィス径が2.0mm以上
【Medium】
限界オリフィス径が1.5mm以上
【Low】
限界オリフィス径が1.0mm以下で破壊のタイプO以外
【No】
限界オリフィス径が1.0mm以下で破壊のタイプO

オランダ式圧力容器試験(300g)

評価 【Violent】
試料量10gで限界オリフィス径が9.0mm以上
【Medium】
試料量10gでオリフィス径が3.5mmまたは6.0mmで破裂するが9.0mmでは破裂しない
【Low】
試料量10gでオリフィス径が1.0mmまたは2.0mmで破裂するが3.5mmでは破裂しない、または試料量50gでオリフィス径1.0mmで破裂する
【No】
試料量50gでオリフィス径が1.0mmでも破裂しない

テストシリーズF【 BOX12 】

爆発威力はどうか:物質を強制的に爆発分解させて爆発威力を評価

Mk Ⅲ d弾動臼砲試験(50g)

評価 【Not Low】
爆発威力がピクリン酸の7%を超える
【Low】
爆発威力がピクリン酸の1%を超えて7%以下
【No】
爆発威力がピクリン酸の1%未満

テストシリーズD【 BOX6 】

輸送物の状態で急速に爆燃するか:包装形態の中心を火薬にて着火させ、燃焼状況を評価

輸送物形態の爆燃試験

評価 【Yes】
包装容器が3つ以上に破裂する
【No】
包装容器が破裂しない、または破裂しても3つ以下

本試験は屋外試験場を使用した試験になるので、実施については別途ご相談ください。

テストシリーズG【 BOX10 】

輸送物の状態で爆発するか:包装形態のまま周囲から加熱し、分解状況を評価

輸送物形態の熱爆発試験

評価 【Yes】
包装容器が3つ以上に破裂する
【No】
包装容器が破裂しない、または破裂しても3つ以下

本試験は屋外試験場を使用した試験になるので、実施については別途ご相談ください。

テストシリーズH

物質を一定温度に保ち、分解状況を評価

蓄熱貯蔵試験(2,000ml)

評価 【自己反応性物質に該当しない】
SADTが75℃を超える
【自己反応性物質/有機過酸化物に該当する】
SADTが75℃以下
【自己重合性物質に該当する】
SAPTが75℃以下
※自己反応性物質は、【SADT55℃以下の場合は輸送時に温度管理が必要】
※有機過酸化物は、【SADT50℃以下の場合は輸送時に温度管理が必要】
※自己重合性物質は、【SAPT50℃以下の場合は輸送時に温度管理が必要】

本試験は、自己反応性物質/有機過酸化物のフローから外れていますが、テストシリーズHとしてSADT(自己加速分解温度)やSAPT(自己加速重合温度)を測定するための試験です。

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