危険性評価試験概要
危険性評価試験（一般）
新規に合成された物質など、その潜在的危険性を調べる試験です。もし事故が起こってしまった場合、その原因調査にも役立ちます。
基本試験（スクリーニング試験）
物質を加熱し、発熱開始温度や発熱量から潜在的な危険性を評価します。数mg～数gで試験が行えるため、事前評価としては最適な試験です。この試験の結果を元に、様々な危険性評価試験を行うのが通常です。
試験内容
熱分析試験（SC-DSCまたはTG-DTA），ARC試験
燃焼性の試験
物質が外部からの着火源に対し、着火しやすいか否か、また着火した場合、どの程度激しく燃焼するか評価します。
試験内容
BAM着火性試験，燃焼速度試験，発火点試験（クルップ式，ASTM式）
爆発性の試験
物質が爆発性を有するか、また爆発した際の爆発威力はどの程度かを評価します。もし爆発性を有する場合、万一事故が起こった際の被害は甚大なものとなるでしょう。
試験内容
鉄管起爆試験，弾動臼砲試験，粉塵爆発試験，爆発限界測定（上・下限）
起爆性の試験（感度試験）
物質に打撃や摩擦を与え、爆発性を有するか否かを評価します。僅かな衝撃で分解する場合、取り扱いには注意しなければなりません。
試験内容
落槌感度試験，摩擦感度試験，可変起爆剤試験，小型ギャップ試験
分解性の試験
物質が発熱分解した際の激しさを評価します。分解が激しい場合、容器等が破裂して飛散する恐れがあります。
試験内容
圧力容器試験，ケーネン試験，赤熱鉄皿試験
安定性の試験
発熱分解性を有する物質を長時間熱処理または長期間保存する際の自己発熱性を評価します。大量の試料を用いて行うため、事前に十分な試験を行っておく必要があります。
試験内容
蓄熱貯蔵試験，自然発火性試験
消防法危険物確認試験
物質（物品）が消防法の危険物に該当するかどうかを調べる試験です。
第1類（酸化性固体）の試験
試験内容
粉粒状の場合：燃焼試験，落球式打撃感度試験
成型品の場合：大量燃焼試験，鉄管試験
第2類（可燃性固体）の試験
試験内容
可燃性固体の場合：小ガス炎試験
引火性固体の場合：セタ密閉式引火点試験
第3類（自然発火性物質および禁水性物質）の試験
試験内容
自然発火性物質：自然発火性試験
禁水性物質：水との反応性試験
第4類（引火性液体）の試験
試験内容
タグ密閉式引火点試験，セタ密閉式引火点試験，クリーブランド開放式引火点試験，液状確認試験，動粘度測定，タグ開放式燃焼点試験，ASTM式発火点試験，沸点測定
第5類（自己反応性物質）の試験
試験内容
圧力容器試験，熱分析試験
第6類（酸化性液体）の試験
試験内容
燃焼試験
国連勧告試験（UNオレンジブック）
物質（物品）を海外輸送する際のクラス分け（UN No.の決定）をするための試験です。国内では「危険物船舶輸送および貯蔵規則（危規則）」で規制されています。
クラス1（火薬類）の試験
試験内容
ケーネン試験（Koenen test）
時間/圧力試験（Time/pressure test）
BAM落槌感度試験（BAM fallhammer）
BAM摩擦感度試験（BAM friction apparatus）
クラス3（引火性液体）の試験
試験内容
タグ密閉式引火点試験，セタ密閉式引火点試験（Closed-cup flash point test）
クリーブランド開放式引火点試験（Open-cup flash point test）
沸点測定（Initial boiling point）
固体-液体判定試験（Test for determining whether a material is a liquid or a solid）
燃焼継続性試験（Sustained combustibility test）
クラス4区分4.1（可燃性物質または自己反応性物質）の試験
試験内容
可燃性物質の場合：燃焼速度試験（Burning rate test）
自己反応性物質の場合：クラス５区分5.2と同様
クラス4区分4.2（自然発火性物質および自己発熱性物質）の試験
試験内容
自然発火性試験（Spontaneous combustion test）
クラス４区分4.3（水反応可燃性物質）の試験
試験内容
水との反応性試験（Test for substances which in contact with water emit flammable gases）
クラス５区分5.1（酸化性固体および酸化性液体）の試験
試験内容
酸化性固体試験（Test for oxidizing solids）
酸化性液体試験（Test for oxidizing liquids)
クラス５区分5.2（有機過酸化物）の試験
試験内容
BAM50/60鋼管試験（BAM50/60 steel tube test）
時間/圧力試験（Time/pressure test）
爆燃試験（Deflagration test）
ケーネン試験（Koenen test）
オランダ式圧力容器試験（Dutch pressure vessel test）
弾動臼砲試験（Ballistic mortar Mk.III D test）
輸送物形態の爆燃試験（Deflagration test in package）
送物形態の熱爆発試験（Thermal explosion test in package）
蓄熱貯蔵試験（Heat accumulation storage test）
クラス８（腐食性物質）の試験
試験内容
金属腐食性試験（Standard practice for Laboratory immersion corrosion testing of materials）
クラス９（有害性物質）の試験：自己分解発熱持続性試験
試験内容
トラフ試験（Trough test for determination of the self-sustaining exothemic decomposition of fertilizers containing nitrates）
その他の試験
消防法、国連法以外で定められた他の規格試験です。日本の消防法と同様、その国独自の規程がある場合があります。試験実施が可能かどうか、まずはご相談ください。
試験内容
VDI2263準拠試験（Dust Fires and Dust Explosions）
最小着火エネルギー測定（Minimum Ignition Energy）
圧力特性測定（Maximun Explosion Pressure and Kst-Value）
燃焼性試験（Burning Behaviour）
熱貯蔵試験（Hot Storage Tests）
熱分析試験（Differential Thermal Analysis）
堆積状態での発火温度測定（Smoldering Temperature）
浮遊状態での発火温度測定（Ignition Temperature）
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